グリーフケアと想い
記事カテゴリ:雑感記事
最近、自動車同士の事故やあやまった運転により、命が失われるニュースが多く、胸が痛みます。特に幼い命が失われてしまうことは、ご両親をはじめとするご遺族の深い悲しみや耐えがたい苦しみに想いを馳せると、なんとも言い難い感情に襲われます。「逆縁」は辛すぎます。
亡くなられた子どもさんのためにも、一日も早くご両親やご遺族が笑顔を取り戻されることを願ってやみません。
大切な我が子を失ったご両親やご遺族を支えておられる方々には、ぜひ温かく見守って頂きたいと思います。
どのように見守ってよいか分からない方は、下記の「グリーフケア」の記事を参考にして頂ければと思います。
詳細はこちら
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さて、今回の雑感記事では、「想いの大切さ」についてお話してみたいと思います。
「カウンセリングと真心」の記事でも触れましたが、「想い」はすべての言葉や行動を支える土台のようなものです。
私は心理カウンセラーという仕事柄、言葉を非常に大切にしていますが、言葉以上に「想い」はもっと大切です。「最も大切なものだ」と言いきってよいでしょう。
私はいつもカウンセリングを行う度に、本当にクライエント(来談者)のことを想って言葉を発しただろうか、クライエントのことを想って面接できただろうかと自問します。私も一人の人間ですから、ときに自分を守るような面接をしてしまうときがあります。後で振り返って自覚できる場合が多いのですが、自覚ができたときは、次回の面接でクライエントに謝るようにしています。
一方で、心理カウンセラーの人のなかには、本当にクライエントのためにやっているのか、と疑わしくなる人がいます。そういう人に出会う度に、強い憤りを覚えます。
そのような心理カウンセラーが、心理カウンセラーのことを「詐欺師」と自虐的に表現するのではないかと思います。
本物の心理カウンセラーは当然のことながら「詐欺師」とは程遠い存在です。
私が大好きな日本ミュージシャンに『CHAGE and ASKA(略称「チャゲアス」)』がいます。そのチャゲアスの代表曲である『SAY YES』の歌詞の中に次のような一節があります。
言葉は心を越えない
とても伝えたがるけど
心に勝てない
心理カウンセリングの分野において、「想い」の大切さを説いた心理学者にカール・ロジャースがいます。彼は優れた心理カウンセラーの重要な資質として、「自己一致」という概念を提唱しました。
「自己一致」というのは、分かりやすく言ってしまえば、「自分が使っている言葉と本心の内容が一致している」ということです。
例えば、相手のことをそれほど好きでもないのに、「君のことが好きだよ」と伝えることは、自己一致していないということになります。自己一致していない、本心とずれた言葉というのは、皆さんもご存知のとおり、どれだけ言葉を重ねても相手に響きません。
私は「想い」や「真心」といった要素をとても大切に考え、日々心理カウンセリングを行なっています。
そうした私の心理カウンセリングには、私の「母への想い」が生きています。
私の母は、子どものときからあまり健康的ではありませんでした。そのためもあってか、
私の母の記憶といえば、
暗い台所で一人タバコを吸いながら、遠くを見つめて、静かに涙を流している母の姿、
祖母(母の母)の葬式で泣くことも声をだすこともなく、ただ見つめて祖母を見送った母の姿
でした。
臨床心理士になってからは、自分の想いのなかに、「母を何とかしたい」という想いが強くあったことに気づき、母が生きやすくなるようにと、自分なりに一生懸命頑張ったつもりでした。しかし、残念ながら数年前に突然帰らぬ人になってしまいました。
その「母をなんとかすることができなかった」という無念さと、子どものときから抱いていた「母をなんとかしたい」という想いが、今の私の仕事を支えてくれていると言っても過言ではありません。
母を失った後、私は「カウンセラー(である自分)はなんと無力なものか」と思うようになり、その思いから「アロマセラピスト」の資格をとりました。「マッサージ(触れる)という行為は、カウンセリング(言葉)を越えてなんとかできる唯一の方法かもしれない」と、マッサージという手法に1つの希望を託したのです。
私は、母から「世の中にはどうしようもない、癒えることのない深い悲しみがある」ということを教わりました。ですから、当然のこととも言えますが、心理カウンセリングにも限界があることを知っています。
しかしながら、今はそうした絶望を越えて、希望のある心理カウンセリングを提供するべく、役に立つ心理カウンセリングの在り方を日々問い続けています。
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開業して以来、私の記事を読んで頂いた方から、「記事だけでも癒される」という感謝の言葉をいただく度に、私自身励まされエネルギーをもらっています。
大阪市内の商業ビルの1室で、ひっそりと営んでいるカウンセリングルームからではありますが、記事を読んで頂いたり、カウンセリングを受けて頂いたりして、一人でも多くの方の苦しみや悲しみが癒され、「想い」と「言葉」を大切した関わりをしてくださるようになったら、それ以上の幸せはありません。
やや感傷的な記事になりましたが、お読みくださった方には感謝申し上げます。
母の日を前に
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2019-05-10グリーフケアと想い
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