「エネルギー論」と「心のデトックス」ー心の不調の処方箋ー
記事カテゴリ:雑感記事
【はじめに】
本記事では、心の不調やうつなどの各種精神疾患の改善、治療について、「エネルギー論」から解説しています。ここで解説している「エネルギー論」は、私の経験や学びに基づく私的な理論です。ですが、理論と呼ぶ必要がないくらい自然で一般的な話です。皆さんの経験や実感に照らしあわせても、納得のいく内容だと思います。
考え方の例として、「うつ」と「不登校」もとり挙げていますので、そちらに関心がある方も読んでみてください。
【固有で一定のエネルギー】
人にはそれぞれ固有のエネルギーがあります。固有というのは、人によって使えるエネルギー量が違うということです。同じ仕事量でもすぐに疲れる人もいれば、まだまだ頑張れるという人もいますよね。「体力がある、ない」で日常的に表現している事柄ですが、人間も動物なので当たり前の話です。
また、1日に生み出されるエネルギーは一定です。そのため、1日に使えるエネルギー量は限られます。この1日に使えるエネルギー量を越えて生活し続けると、鬱になったり、心身に不調をきたすわけです。エネルギーを使い過ぎたので、身体が「休め」と言っているのですね。
ですから、心の不調の予防のためにも、自分の「体力」を知っていることが大切です。
【物理エネルギーと身体エネルギー】
エネルギーは大きく二つに分けられます。「物理エネルギー」と「精神エネルギー」です。言い換えると、「身体エネルギー」と「心的エネルギー」と表現できます。
精神分析の創始者であるジグムント・フロイトは、様々な欲求に変換可能な心的エネルギーを「リビドー」と呼び、なかでも性的リビドーを強調しました。
本記事のポイントの1つでもありますが、「物理」と「精神」で物事を捉える考えは有効です。「世界のあらゆる事象は、物理学と心理学で捉えられる」と唱えている学者もいます。その人の考えによれば、物理学と心理学の統合が世界を理解する鍵だというわけです。
【エネルギー論】
物理エネルギーは身体エネルギーであり、生命活動をはじめとした身体の活動に費やされるエネルギーです。
精神エネルギーは悩む・考えるといった精神活動に費やされるエネルギーです。
1日に使えるエネルギー量は一定ですから、この2つのエネルギーの和も一定になります。つまり、精神エネルギーが多く使用された時は、使える身体エネルギーが少なくなり、身体活動が十分にできなくなるというわけです。実際、ショックな出来事があった時は、やる気が起きませんよね。そのイメージです。これが私の「エネルギー論」の骨子です。簡単ですね(笑)。
私がなぜこんな当たり前な「エネルギー論」を強調するのかというと、この「エネルギー論」で考えると精神の不調のメカニズムが分かりやすく、対処方法の発想が分かりやすくなるからです。
【エネルギー論からみた「うつ」と「不登校」】
たとえば、うつについて考えてみます。一般的な理解として、うつ状態にある方は多大なストレスに見舞われていると考えられます。多大なストレスの処理に多くの精神エネルギーが費やされてしまい、身体的精神的活動にエネルギーを割けない状態がうつ状態なのです。そのため、うつの治療には、ストレスを解決、改善していくことが求められます。ただし、何がストレスになっているのか、何がうつの引き金になっているのかは人それぞれですから、具体的な対処は個別的なものになります。
また、ストレスを「心のしこり」と表現すれば、心のしこりをほぐし、取り除くことがうつの治療と言えます。ただ、心のしこりが無意識の領域にあって、自分では気づいていないこともあるので、うつの根本的な治療には薬物療法だけでなけカウンセリングを受けることが有効です。
そして、心のしこりをほぐし、取り除く技術がカウンセラーの腕と言えます。
つぎに不登校について考えてみます。不登校は一般的に以下のような段階をたどります。
❶ 学校をポツポツ休み始める。「体育が嫌」「クラスが嫌」などと最もらしい理由を最初は言うが、そのうち理由がころころ変わりはじめる。登校渋りの状態。
❷ 1週間ずっと休むなど、本格的に休みはじめる。尋ねても理由を言わなくなり、問い詰めると、「分からない」「行きたくない」とだけ答えるか、あるいは黙っている。勉強もしなくなる。
❸ 何ヶ月単位で学校を休む。昼夜逆転生活。勉強は全然せず、学校関係の話題を避ける。言うと不機嫌になる。友だちを避ける。不登校の"底辺"の状態。
❹ 「やることがない」「暇すぎる」とこぼすようになる。「このままで大丈夫だろうか」という将来への不安がかいまみえてくる。
❺ 気持ちが将来や外に向きはじめ、勉強をはじめたり、友だちと遊びはじめたり、掃除をしたり、新しいことをしはじめる。
❻ 再登校したり、登校はしないが受験勉強をしたり、自分の道を模索し歩みはじめる。前向きの状態。
❸が不登校の底辺状態、❻が不登校の解決の状態と言えます。❻の前向きの段階に到るまでには、❸の底辺状態を経る必要があると言われています。つまり、昼夜逆転生活は多くの不登校の子に見られる経過の一つなのです。
ですから、不登校になっている子どもへの適切な対応は、「学校に行きなさい」と責めたてず、言いたくなる気持ちをぐっとこらえ、子どもの自発的な行動を尊重し、主体性を育くむことです。一概に言えるわけではありませんが、たとえば子どもが「したい」と言ったことは叶えてやると良いです。したいことができると意欲やエネルギーが湧いてきますから、心の変化、成長が起きやすくなります。目的的に考える場合、これが❻の段階に到る"近道"なのです。
しかし、昼夜逆転生活をしている子どもを責め立てずにポジティヴに接するのは、容易なことではありません。責めたてたくなる気持ちは、親ならば当然の気持ちです。ただ、学校に行かない子どもを見通しが立たないままに怒りつづけ、言い聞かせようとするのは、目的的に考えればマイナスです。
子どもは親にガミガミ言われることでイライラします。イライラすると、その処理に多大な精神エネルギーが費やされることになります。そのため、心の成長に必要なエネルギーが減ってしまうのです。その結果、先の不登校のプロセスが遅れることになります。
【心のデトックスという発想】
皆さんは「デトックス」という言葉をご存知ですか?ダイエットでお馴染みの言葉ですが、デトックスとは「体内に溜まった毒物を排出させること」です。
たとえば、私たちは日々の食生活のなかで、自然に食品添加物を摂取しています。すると、添加物の処理にエネルギーが使われてしまい、脂肪の燃焼に使えるエネルギーが減ってしまうのですね。ダイエットで水を毎日2リットル以上飲むと良いと言われるのは、発汗や排泄機能を促し、添加物を排出することで、添加物の処理に必要なエネルギーを減らし、脂肪燃焼にエネルギーをまわせるようになり、結果痩せやすくなるからなのですね。
デトックスを心にあてはめて考えると、親がガミガミ言うのは、子どもの心に添加物(イライラなどのネガティブ感情)を与えているようなものなのです。ですから、ガミガミ言うのを減らすことと、子どもの気持ちをふんふんと聞いてやること(=排出させること)が良いのです。
【まとめ】
いかかでしたか?
当たり前といえば当たり前のことですが、エネルギーという観点から考えると、心の不調のメカニズムや改善方法が非常にスッキリして分かりやすいですよね。
終わりに、「エネルギー論」から考えられる対応方法をまとめると、
❶ストレス(心の添加物)を減らす。
❷ストレス(心の添加物)を排出する。
❸楽しいこと、したいことを積極的に生活に取り入れ、心を活き活きさせる(エネルギーを増やす)
❹しっかり休む。特に睡眠を大切にする(エネルギーを蓄える)
になります。
❶❷の部分がなかなかうまくいかないときには、一度カウンセリングを受けてみると良いでしょう。
てだのふあカウンセリングルーム
2017-08-12「エネルギー論」と「心のデトックス」ー心の不調の処方箋ー
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