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箱庭療法
当カウンセリングルームでは、箱庭療法を提供しています。
箱庭療法とは、日本のユング心理学者かつ臨床心理士の第一人者であり、文化庁長官を務めたこともある故河合隼雄により、スイスから導入された心理療法です。
心理療法と言っても、内容はジオラマ遊びのようなもので、横57cm、縦72cm、深さ7cm程度の砂箱の中に、好きなフィギュアを置いていく、というものです。
砂箱の内側は青く塗られているので、砂を掘ることで湖や海などの表現も可能です。
所要時間は人によりますが、大体20分~30分程度です。
面接がある度に毎回箱庭を作られる方もおられますし、数回の面接に1回という方もおられます。
箱庭療法のメリットは、[言葉によらない自己表現を可能にすること]と[心の深層にアプローチできること]です。
箱庭療法は、“イメージ”を用いた心理療法です。“イメージ”は、言葉(意識)ではつかみきれない内容を豊富に含んでいます。
代表的なイメージの1つに、「夢」があります。皆さんも寝ているときに夢を見ますよね。そのとき、「なぜこんな夢を見るんだろう」と思ったことはありませんか。大きなクジラがでてきたり、サメや蜘蛛などの生き物がでてきたり、襲われる夢や逃げる夢など、様々な不可思議な夢を見て、時には気になってネットで調べたりしている人もおられるのではないでしょうか。
夢は、人間に備わった心の自己治癒の1つです。寝ることによって心がスッキリするのは、夢見の作用が影響しています。人は、夢見ることによって、日々のイライラやモヤモヤを解消しているのです また、夢はあなたの心の状態を教えてくれています。夢を分析することによって、自分でも気づいていない自身の状態や欲求、苦しみに気づくことができます。
悪夢などの夢は、心のSOSの1つです。悪夢を長期間にわたって繰り返し見る場合は、カウンセリングをうけることも有益な方法の1つです。
夢と同じように、箱庭療法は自己治癒作用を持ち合わせています。箱庭療法をうけることによって、自分でも気づかないうちに、なんだか心が軽くなったり、気持ちが楽になったりするのです。実際に、箱庭をつくるなかで、心が深く揺さぶられ、泣く方もおられます。また、夢と同様に、自分に対する気づきを得ることもできます。
このように、箱庭療法では、自身が意識的・無意識的に選択したフィギュア(イメージ)を通して、”夢”などのような無意識領域ある心の内容を表現することによって、心の諸問題を改善していくことが可能です。
たとえば、過去に虐待や事件・事故・震災などにより、大きな心の外傷体験を負ってしまった人にとって、その出来事を思い出すことは相当に辛いことでしょう。
ですが、面接において“言葉にする”という行為は、そのような辛い体験を思い出し、意識することにつながりますから、辛い外傷体験を思い出すことが嫌な人にとっては、面接そのものが苦痛になったり、外傷体験になってしまう場合があります。
何年も抱え続けているようなショッキングな心の外傷体験は、「トラウマ」と呼ばれますが、トラウマの治療において、箱庭療法は「外傷体験そのものを意識せずに表現することができる」ので、外傷体験を意識することなく治療したい人にとっては、有益な心理療法なのです。
しかし、箱庭療法も万能というわけではありません。どのようなカウンセリングを選択するにしても、カウンセリングを受けることによって効果が期待できるかどうかの大きな要因は、カウンセラーとの信頼関係です。
逆に、カウンセラーとの信頼関係がない中で行われる箱庭療法は、効果が薄かったり、場合によっては心の傷になることもあります。
また、箱庭療法はイメージを用いた心理療法なので、なんだか得体の知れない怖さを感じる方もおられます。
箱庭療法がその人にとって有効かどうかは、箱庭をして楽しいと思えたかどうか、自分が表現したいと思っていた内容にしっくりくるものが表現できたかどうか、心が揺さぶられる感覚が少しでもあったかどうか、などです。
箱庭療法は、イメージを通して自分を知りたい方、イメージを通して心をほぐしたい方、「トラウマ」を意識せずに改善したい方、身体症状を改善したい方にお勧めです。箱庭療法にご関心がある方は、一度お試しになってはいかがでしょうか。