カウンセリングルーム開設の経緯とご挨拶
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【カウンセリングルーム開設の経緯】
この度、私がカウンセリングルームの開設に至った経緯には、勤務先の保護者の方や先生方から、「先生は個人でやっていないのですか?」と尋ねられることが増えてきたという理由があります。
カウンセリングというものは、通例、回数を重ねるにつれて、話の内容が深まっていきます。最初は、子どもの不登校について話だったのが、そのうち、これは私たち夫婦関係に問題があるのではないかと気づきはじめ、次第に相談内容が夫婦の話、さらには自分自身の育ちについての話になっていく、という具合です。
このような“深い”カウンセリングの場合、カウンセリングは数回では終わらず、何年にもわたります。このような時、カウンセラーの交代は、相談に来られる人(以下クライエントと表記)にとって大きな負担です。
ところが、私自身はスクールカウンセラーの仕事柄、異動の可能性が常にあり、子どもが学校を卒業してしまうと保護者とのカウンセリングも終えなければいけない状況にありました。保護者のなかには、兄弟の在籍といった事情により、8年間にわたってカウンセリングに通い続けた方もおられましたが、それでもいつかは終わりがあります。
また、大学勤務のカウンセラーでも、任期があるため、何年も会うということができない状況でした。そのため、心理カウンセラーという仕事内容にも関わらず任期があるということについて、直接批判をしたクライエントもいました。
そして、私自身、カウンセラーの経験を積むなかで、クライエントの内面や人生に深く関わることが増えてくる一方で、先の理由によりお別れしなければいけないことに、専門家としての葛藤を抱いていました。
その葛藤が、今回のカウンセリングルームの開設に至った次第です。
【専門家としての責任】
「卒業」といった終わりや区切りがあるということも、人生では大切なことです。そのことを踏まえたうえで、私は「クライエントを引き受ける」ということを大切に考えています。
個人でカウンセリングルームを営むということは、「私が存在している限りにおいて、クライエントを引き受ける」覚悟の証です。
「私はあなたを見捨てるのではなく、あなたが望みさえすれば、あなたを引き受ける」覚悟があることを伝えられることは、私が提供したいとするカウンセリングでは、とても重要なことだったのです。
ですが、会える期間が限られている場合には、その期間に応じたカウンセリング内容しか、私は責任をもって提供することができません。
そして、人と人の出会いというもの(=カウンセリング)は、そうした枠組みを超えて、2人の関係性のなかで様々に展開されていくものです。
個人で引き受けられる場をもつことは、以上のように、専門家としての責任の証でもあるのです。
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