スーパーバイズ(SV)の受付を始めました 〜 若手スクールカウンセラーの皆さんへ 〜
記事カテゴリ:営業に関するお知らせ
本日より、若手スクールカウンセラーの方のスーパーバイズ(以下SV)をお引き受けすることにしました(スクールカウンセラーでない方にもご利用頂けます)。ご希望の方は、申し込みフォームの相談内容欄に「SV希望」と記入し、お申し込みください。
以下、SVの案内文を書かせていただきました。
スクールカウンセラー(以下SC)をなさっている方には役に立つ内容かと思いますので、是非ご一読ください。
【はじめに】
今回、私が若手スクールカウンセラーの方のSVをお引き受けしようと思った理由は、じつに多くの学校の先生方からSCに対する様々な批判を頂くのですが、現在行われているSCの研修内容は、そのような先生方の批判に応える内容になっていない、と私は感じているからです。
後で詳しく紹介しますが、SCの仕事はカウンセラーとしての総合力が問われます。
SCは学校現場にいるカウンセラーですから、流動する現場の状況やいろんな先生方にあわせられる柔軟性が必要です。
また、個人から集団まで、子どもから大人までが支援の対象になります。そのため、コミュニケーション力や"心理的に"抱える力(母性)が非常に求められます。
当然、常識や礼節も大切です。物事の手続きを進める手順、筋についても、よく分かっている必要があります。
そして、「チーム学校」の施策にも見られるように、確かな見立てと説明力に基づいたリーダーシップが、SCには益々求められてきています。
ストレスマネジメントやいじめ防止プログラムなど、集団や組織に対する支援や取り組みが期待されている時流のなかで、どんな時でも個別性を意識にとめ、個人(の苦しみ)を理解し、個人に寄り添う臨床姿勢をしっかりと持ち続けることが大切です。
私は、若手SCの方のSVをとおして、個も集団もバランスよく支え、現場で役に立ち、先生方の期待に応えることのできるSCを育てたいと思っています。結果的にSC全体のスキルの底上げに寄与できれば、言うことはありません。
以下には、私が思うSCの課題ついて、より詳しく述べています。ご一読ください。
【スクールカウンセラーの仕事】
みなさんご存知のとおり、スクールカウンセラーの仕事は、カウンセラーの仕事の中でも、応用編です。
先に少しご説明しましたが、なぜ応用編であるのかを、簡単にですかが説明していきたいと思います。
病院や大学付属の心理臨床センターにおけるカウンセリング、いわゆる「相談室モデル」のカウンセリングでは、来談した方との面接のみに集中できます。情報は来談された方から聞き取ったものだけです。ですから、情報量が少ない分、整理しまとめやすいと言えます。また、通常、病院や大学付属の心理臨床センターに来られる方は、「カウンセリングを受けたい」というニーズをある程度持った方(以下Cl)が来られます。そのため、カウンセリングの導入が比較的容易です。
しかし、スクールカウンセリングでは上記のようにはいきません。後でも繰り返し述べますが、SCはたえず先生方や教育委員会など外からの評価に晒されていますし、児童生徒や保護者だけでなく、先生方や学校全体、強いては地域のことまで考えていなくてはなりません。児童生徒に対して適切な支援を実行するためにも、先生方を支え、先生方とやりとりする必要があります。
先ほどのカウンセリングのニーズの有る無しの話でいえば、例えば課題のある生徒が先生に無理矢理連れて来られ、カウンセリングが始まったり、自傷行為や虐待などの事案では、カウンセリングのニーズを持っていない家庭にアプローチし、家族の協力を得るといったことも求められます。クライエントがカウンセリングのニーズを持っているか持っていないかによって、カウンセリングの導入のしやすさが大きく変わってくることは容易に想像できることでしょう。
それでは、スクールカウンセリングの特徴について、話を進めていまきます。
スクールカウンセリングでは、具体的な対応方法を助言することが求められます。例えば、不登校の相談で、先生方からの話をふんふんと聴いて、「様子を見ましょう」というわけにはいきません。先生方は、SCに具体的な対応方法を聴きたいと思っています。登校刺激を与えるほうがよいのか、与えないほうがよいのかの判断もカウンセラーにしっかり示して欲しいのです。そして、その思いは、先生方だけでなく、保護者の方も同じように強く思っています。
もし仮に、今は様子を見ることが適切な対応だとした場合は、その理由を分かりやすく丁寧に説明する必要があるでしょう。専門家として、当然のことです。
カウンセラーに具体的な対応方法を助言して欲しいという思いは、カウンセリング利用者の多くの方が思っていることです。にも関わらず、具体的な対応を助言せず、相談者の内面的なことばかりを扱ったり、傾聴しつづけるカウンセラーが非常に多いのです。このあたりが利用者とカウンセラーの間でよく見られるズレです。
それに、多くの場合、SCは週1回もしく月1、2回程度しか学校にいません。ですが、先生は常に児童生徒のそばにいます。ですから、先生が児童生徒の支援を適切に行えるよう、先生方をサポートしていくことが、SCに求められている一番の役割と言っても過言ではありません。そのためにも、先生が行える具体的な対応方法を助言できるスキルが、SCには必要です。
しかし、これまでの大学院教育では、「聴くこと」と「見立てること」のトレーニングしか十分に行われておらず、具体的な対応方法を模索することや、丁寧に説明することのトレーニングがほとんどなされていないのが実情です。そのため、多くの若手カウンセラーが、SCを始めると大変苦労することになるのです。
私は、早くからこの問題に向き合い、具体的かつ個別的な対応方法を模索し、カウンセラーの考えを丁寧に説明することに一生懸命に取り組んできました。その結果、、なのかどうかは分かりませんが、多くの先生方や保護者の方から勤務の継続を希望していただき、今年度で、勤務が長い学校だと10年目を迎えました。私のもとを訪れる保護者の方のなかには、ふんふんと聴くだけで何も言ってくれないカウンセラーに対する不満を述べる方がたくさんいらっしゃいます。また、SCという立場にも関わらず、8年間ずっと継続してカウンセリングを受けに来ている保護者の方もおられます。
具体的かつ個別な対応方法を模索し、カウンセラーの考えを丁寧に説明するスキルは、取り組み始めなければ一向に育ちません。私のSVでは、まずはこの点において、非常に役に立てると思います。
次に、スクールカウンセリングは、面接室のみの対応ではなく、例えば校内巡回、授業参観からのコンサルテーション、教員研修や保護者への講演、時には学級崩壊を起こしているクラスへの対応など、面接室外の取り組みが多く求められます。ですから、スクールカウンセリングは、「相談室モデル」のカウンセリングと違って、多くの情報に接することになります。
また、日々刻々と状況が変わる学校の中での活動なので、流動的な学校状況に巻き込まれたり、思いもしない問題がSCのもとに持ち込まれたりします。
そのため、SCには、多くの情報を整理し、学校をはじめとした状況を的確に見立て、大局を把握し、臨機応変に対処することが求められます。これを行うには、ある程度の経験と訓練が必要です。
そして、福島県や熊本県の小中学校における緊急派遣SCの活動からは、流動的な現場の流れ、大局を短期時間で把握する経験をたくさん積ませて頂きました。これらの経験から、「学校文化」をはじめ、大局を把握するための視点を多くお伝えできると思います。
また、スクールカウンセリングでは、様々な人の立場に立って問題を考える必要があります。例えば、教室内で暴れる児童(A君)の援助を想定してみましょう。この時、担任はA君に対して非常に憤っていたり、大変消耗してしまっている可能性が多分にあるでしょう。ですから、SCとしては、まずは担任を支える必要があります。SCがA君の気持ちに共感し、A君の立場に立ってしまい、SCが先生を非難してしまうようでは、SCとしての機能を十分に果たせません。
SCの支援対象者として、子ども・保護者・先生がいた場合、3名ともが互いに批判的になっている場合もあります。このような時、SCとしては、3名の立場にそれぞれたち、共感し、問題解決にあたる必要があります。ですから、SCは、心の中で異なる立場をまとめていく作業をしなければいけません。しかし、この作業は、異なる立場にたち、葛藤に引き裂かれる苦しみをSCにもたらします。SCには、この大変で苦しい内的な作業を遂行し、互いに批判的になっている3者を繋いでいくことが求められるのです。
スクールカウンセリングでは、SC一人で葛藤を抱えることが難しい局面に遭遇することが多々あります。特に、緊急支援の場合はそうだと言えるでしょう。緊急支援時には、子どもについての相談であっても、保護者をはじめ、担任、学年主任、養護教諭、学年主任、教頭、校長など、多くの人を”心理的に”抱える必要があります。これは、非常に負担の大きい仕事です。そのため、このような時には、スーパーバイザーなどの一緒に抱えてくれる存在が非常に重要です。その際、SCの特徴をよく分かっているカウンセラーにSVをしてもらうことが肝要です。
最後に、SCにはSC特有の動き方、というものがあります。病院や心理臨床センターでの「相談室モデル」に親しみ慣れている人にとっては、なかなか難しいかったり、どう考えていいのか分からず、困ることも多いと思います。教員研修や保護者講演で何をすれば良いのか分からないという若手カウンセラーの人もいるのではと思います。
また、SCはたえず先生方からの評価、外からの評価にさらされます。時には責任ある判断やリーダーシップもSCには求められます。それに、SCの考えに異を唱える(SC嫌いの)先生も少なくありません。そのため、SCは専門家としての自身の考えをしっかりともち、プレッシャーに耐えリーダーシップをとり得る程度の自信を持ち合わせていなければいけません。
そして、いじめや自殺、教職員の不祥事など、ニュースで取り上げられるような大きな事案であれば、所定の勤務に関わらず活動しなければいけませんし、学校や地域をも(心理的に)抱えなければいけないこともあります。マスコミ対応をしなければいけいこともあるでしょう。そのため、SCには、「一人になったとしても子どもを守る」という専門家としての自負、勇気と覚悟が必要なのです。
私のスーパーバイズでは、個別のケース理解はもちろんのこと、SC特有の動き方や考え方なども、具体的に丁寧にお伝えしていきます。
もしSCで困られている方がおられましたら、是非SVの申し込みをご検討ください。1度試しに受けていただき、その後継続するかどうか判断していただければと思います。内容に不足を感じれば、遠慮なく断っていただいて結構です。
当カウンセリングルームでお会いできることを楽しみにしています。
※画像は、詳細はこちら 「教員養成のためのモジュール型コア教材」様よりお借りしました。
てだのふあカウンセリングルーム
2017-05-27スーパーバイズ(SV)の受付を始めました 〜 若手スクールカウンセラーの皆さんへ 〜
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