アダルトチルドレン(AC)の方へ ー アダルトチルドレンからの回復とカウンセリング ー(2018.11.05 改定)
記事カテゴリ:心理カウンセリング
【はじめに】
本記事は2017年6月に掲載しましたアダルトチルドレン(AC)に関する記事を、分かりやすく改定したものです。
アダルトチルドレンの克服ないし回復過程、カウンセリングや心理療法にご関心のおありの方は、是非お読みください。
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それでは、1、2回目の記事につづいて、3回目の本記事では、ACに該当される人に必要な支援(=治療、カウンセリング内容)について、一般論に私の考えをまじえて解説していきたいと思います。
私は「狭義のACである(アルコール依存の親のもとで育った)私自身の体験と克服の経験」、および「これまでのACの方とのカウンセリング経験」から、ACに該当される方の生きにくさの中核は、「自分(の芯)のなさ」「自分(の芯)の揺らぎやすさ」であると考えています。
ここで言う”自分(の芯)のなさ”とは、
「自分の感覚を信頼できない」
「自分に自信がもてない」
「その瞬間の自分の感情が分からない」
「自分の考えがまとまらない」
「自分の考えを言葉にできない」
「自分の考えを伝えられない」
などです。
ACに該当する方は、機能不全家庭で育っていますから、親の顔色を伺うなど、周囲にエネルギーを注いでばかりで、自分がその瞬間に何を感じたか(≒自分の心のうち)について味わったり、自分の考えを整理するなど、自分の内面にエネルギーを注ぐことができません。その結果、自分の芯がつくれないまま(≒幼い子どもを心のうちに残したまま)に大人になっていきます。
自分の”芯”がなければ、自分自身がたえずグラついたままなので、人との距離感も常にグラグラしてしまいます。自分がぐらついたままでは、安定した対人関係は望めないのです。
それでは、自分の”芯”をつくるにはどうしたらよいのでしょうか。
それは、❶自分の内面、心のうちについて安心して振り返られる場と機会を手にいれることです。そして、❷自分自身についてゆっくりと振り返りながら、「”その時””その瞬間”に自分が何を感じていたのか、本来の自分(の感情)への気づき」がとても重要です。
本来の自分について気づきを得る作業は、最初は慣れていませんし、混乱している状況にあったり、気づくための視点も持ち合わせていないことも多いので、少し時間がかかると思います。
しかし、本来の自分に気づくための視点については、カウンセラーが分かり易くお伝えします(=心理教育)ので、カウンセリングを重ねるうちに本来の自分に気づけるようになりますから、安心してください。
また、自身の体験を話すなかで、思いもしなかった感情が自然に湧いてきたりして、あるとき突然本来の自分に気づいたりもします。
さらに、その感情体験や気づきを話すことで、自分の感じ方や大切にしている事柄、傷つきやすい事柄など、自分の感覚が少しずつ掴めてきます。そうすると、自分の感覚や判断が信用できるようになっていくのです。
また、その瞬間に感じていた感情や考えが、その瞬間に言葉にできるようになりますので、コミュニケーションも円滑なものになり、ストレスも緩和されていくことでしょう。
このように、❸アダルトチルドレン(AC)に関して臨床心理学的な視点や知識を得て、また、❹自身の体験を語ることを通して本来の自分に気づき、自分の芯をつくっていく作業が、ACの克服、あるいはACからの回復、対人関係の改善に欠かせないのです。
ですから、ACに該当される方にはカウンセリングをお勧めします。
私がカウンセリングを勧める理由は、先に紹介した臨床心理学的な視点や知識を得るためという理由もありますが、ACの方の特徴であるコミュニケーションパターンが大きな理由です。
ACに該当される方は、一般的に相手に対して非常に気を遣いやすく、相手の反応に敏感になりがちです。そのため、話しているうちに、相手の反応に合わせて話の内容を変えてしまったり、話すことをやめてしまったり、落ち着かなくなったりすることが多いのです。そうすると、「最初は聴いてもらえて嬉しかった人間関係も、いつのまにか無理のある苦痛な人間関係に変わっていく」という人間関係パターンが繰り返されがちになります。
そのため、ACに該当される方にとっては、「安心して話せる時間と場所を手に入れること」がカウンセリングをうけることの最大のメリットと言えるのです。
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では、どのようなカウンセリングがACの方に適しているのでしょうか?
安心して本音を話せることが大切なのは言うまでもありませんが、カウンセラーから、
❶支持をしっかりと表明してもらえること
❷不合理な考えや感情について具体的に指摘してもらえること
❸的確に状況を説明してもらえること、
が重要です。
また、ACに該当される方は、感受性が豊かな方が多いので、
❹自身の感受性や感性について知ること、
は重要です。この点の理解が曖昧だと、対人関係(自分と相手のあいだ)で何が起こっているのかがうまく把握できません。
そして、これらの作業を行いながら、
❺自身の心のうちにいる「内なる子ども(インナーチャイルド≒幼い子ども)」を癒すこと、
が大事になってきます。
あなたの心のうちにいる「内なる子ども」は、怒っていたり、泣いていたり、びくびくしていたりしています。そのような「内なる子ども」を癒すことができると、抑うつ感が改善され、本来のエネルギーがもどり、力が発揮され、幸せで豊かな気持ちがもどってきます。
ただ、「内なる子ども」に触れるには、少し鍛錬が必要かもしれません。箱庭療法など、イメージを用いた表現をおこなうと触れやすいので、箱庭療法もお勧めです。
最後にACの方の対人関係について触れておきます。
もしACであるあなたが今の対人関係において、「なんだかおかしい感じがする」「モヤモヤする」と言った感覚を抱いているなら、あなたが感じているものを否定せず、大切にして、その対人関係から距離をとることも有効です。
ACの方は、幼少期に身につけた家族内役割に基づいたコミュニケーションパターンから、相手の問題や、家族や組織といった集団の問題にいつの間にか巻き込まれていることが多いので、ご自身の健康のためにも、無理をしない、仕事や頼みごとを引き受けないようにすることも大事です。
自分が感じたモヤモヤの正体については、その時は分からなくても、後々「そういうことだったのか!」と腑に落ちるときがくることでしょう。自分の感性、感受性を信じて行動してくださいね。
※幼少期に身につけた家族内役割、インナーチャイルドについてはこちら↓
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2018-11-05アダルトチルドレン(AC)の方へ ー アダルトチルドレンからの回復とカウンセリング ー(2018.11.05 改定)