悲しみに言葉を
記事カテゴリ:雑感記事
本日女優の竹内結子さんがお亡くなりになりました。
ご家族、ご親族の方には、心からお悔やみ申し上げます。
特にご家族の方におかれては、適切なケアがなされることを祈っています。
竹内結子さんは私も好きな女優さんで、明るく笑顔が素敵な方でしたので、ニュースを見て驚きました。関係者の方々の心中を思うと、とても胸が痛みます。
また、心の専門家としては、不謹慎な表現かもしれませんが、俳優の三浦春馬さんに続いて、竹内結子さんがこのような形でお亡くなりになると、「自死の連鎖がうまれるのではないか」と危惧しています。
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私はこの個人のカウンセリングルームをはじめ、スクールカウンセラーや精神科のクリニックでいろんな方にお会いしていますが、三浦春馬さんがお亡くなりになった後、多くの方が悲しんでおられました。カウンセリングでお会いする人のなかには、ずっと死にたい気持ちを抱えて生きてこられた方もいて、話をきいていると、「死んだら三浦春馬君に出会えそうな気がする」と思っているような印象がありました。
大切な人が突然この世を去ると、心の中に大きな穴があいたように感じられ、どこか死の世界にひっぱられるような感じがします。死ねば亡くなった人に会えるんじゃないか、一緒になれるのではないかと、そんな気さえしてくるのです。
私の母親は心不全で突然この世を去りましたが、自死に似た亡くなり方でした。母親が亡くなった後、ふとすると心が「陰」のほうにもっていかれそうになる感じが何度もありました。知り合いのカウンセラーに話をきいてもらったりしながら、母親の苦しみに何もできなかった憤りを表現したり、一人で泣いたりを繰り返して、心が死に引っ張られるのを耐えしのいでいたように思います。
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なぜ人は死を選ぶのでしょうか。
自死というとうつ病を連想する人は多いかもしれません。うつ病はその病気のかかりはじめと、回復初期において、自死のリスクが高いと言われています。
しかし、自死を選ぶ人は、うつ病の人だけに限らず、計画的な自死を行う人もいれば、怒りや悲しみの感情に突き動かされて、衝動的に死を選ぶ人もいます。なかには、なにかの拍子にふと魔が差すような形で死を選ぶ人もいます。
計画的な自死の場合は、自死のサインが出されている場合が多く、対処が可能です。一方で、衝動的であったり、魔が差すような自死の場合は、何のサインもないことが多いので、対処の仕様は困難です。
また、気持ちの面から自死について考えてみた場合、
「生きていてもいいことがない(希望)」
「生きている意味を感じなくなった(実存)」
「自分は死んだ方がマシな人間だと思った(存在価値)」
「死ぬことで罪をつぐないたい(罪悪感)」
「苦しみから解放されたい(苦しみ)」
「もう疲れた(疲れ)」
「死んだら大切な人に会える(悲しみ)」
「死んで生まれ変わる(転生)」
など、
その人によって様々な理由や目的があるだろうと思います。
生きているといろんなことがありますね。年をとる、人間関係が変わる、環境が変わる、心を傷つけられる、大切な人がなくなる、病気になる。そして、いろんな思いを心に抱きます。ときには家族にも言えないようなことを心に抱くかもしれません。
また、人間は多様な生き物です。さまざまな「私」がいます。ときには反社会的・反道徳的・反倫理的なことを考える自分もいるかもしれません。
ですが、社会で生きていくためには、そのような内容は安易に外に表現することはできません。心のうちにしまっておく必要があります。
特に、それがテレビなどで活躍する人になってくると、明るい人でいることを期待されたり、常に前向きな人でいることを期待されることで、本当は多様な私なのに、その私の一部しか表現できなくなってしまったり、自分の気持ちについてよく分からなくなったり、考えたあげく、疲れてきってしまうこともあるかもしれません。
このように、人が自死を選ぶには、さまざまな理由や目的、心の状態があると思いますが、誤解を恐れずに表現すれば、私は「死」それ自体が人を引き寄せる力をもっているからだと思います。
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では、どうすれば、「死」が引き寄せる力に耐え、自死を選ばずに「生きよう」と思えるのでしょうか。
私は、「生きるためには、本当の私を表現し、理解してもらえることが大事だ」と考えています。特に怒りや悲しみなど、ネガティブな気持ちを表現できることが重要です。そして「ピュアな私」との繋がりをとりもどし、保つこと、が重要です。
死へ誘うような感情はふとしたときにやってきます。「私」を表現することを大切に考え、「私」を表現できる場所や機会を確保して、日々の心のケアをして欲しいと思います。
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