カウンセリングを受けるかどうかでお悩みの方へ(2017年10月9日改文)
記事カテゴリ:営業に関するお知らせ
【はじめに】
本記事は、以前の記事(2017年3月)を改変したものです。
本記事では、カウンセリングを申し込む際に、皆様が気になったり、悩んだりされるだろうと思われる項目(料金やカウンセリングの効果等)について、解説しています。ご関心のある方は一度お読みください。
【カウンセリング1回あたりの料金相場】
皆さんが、個人でやっているカウンセラーに相談する際にまず気にかかるのが、値段のことではないかと思います。
カウンセリングは保険がききませんので、1回あたり数千円かかります。個人でやっているカウンセラーによるカウンセリング料金の相場は、関西圏では大体6000円前後になると思います。場所や人によっては、1回のカウンセリングに1万円以上かかる場合もあります。
【カウンセリングの質と料金】
次に気になるのが、その額に見合うだけのカウンセリングが受けられるのかどうかだろうと思います。これは非常に微妙な問題です。
一般に、「カウンセリング料金が高いとすごいカウンセリングが受けられるのかな」と思いがちかもしれませんが、カウンセリングの質や効果は、カウンセリング料金に比例しません。
また、「〜大学教授」や、「多数の著書を出している」といった肩書きにも比例しません。病院などの専門機関にいけば、質の高いカウンセリングが受けられるかといえば、そうではありません。
それでは、どうしたら質の良いカウンセリングをうけられるのでしょうか。
【良いカウンセラーの見分け方(私見)】
一般の方からすれば、そのカウンセラーがよいカウンセラーかどうかを見分けるには、肩書きに頼らざるを得ないでしょう。
実際のところ、良いカウンセリングかどうかを見極めるには、まずは試しに行ってみるしかありません。その際、カウンセラーの言うことを盲目的に信じるのではなく、あなたの感覚を頼りにして、たとえば、そのカウンセリング内容やカウンセラーの説明に納得がいくかどうかなどから、カウンセリングの継続を決めると良いと思います。
私がお勧めする良いカウンセラーかどうかの見極め方は、カウンセラーに質問してみることです。質問に対するカウンセラーの態度や説明の仕方によって、おおよその検討がつくのではないかと思います。
【個人でやっているカウンセラーに相談するメリット】
話がそれましたが、個人でやっているカウンセラーにカウンセリングを受けるメリットは、なんといっても、そのカウンセラーにずっと相談できることです。
人生において、自分のことをよく理解してくれる人に出会えることは、案外難しいものです。それだけに、良き理解者との出会いはとても嬉しいし有難く、「宝」のようなものです。
カウンセリングをうける目的は人によって様々でしょうが、本質的には、「“良き理解者を得る”ことがカウンセリングにおける最大の利益である」と言っても過言ではないでしょう。
良き理解者に、必要であればいつでも相談できるという安心感は、それだけで大きな心の支えになります。
【お金を払って話を聴いてもらうということ❶】
しかし、読者の皆さんのなかには、「1回のカウンセリングに6000円も払うなんて高すぎる。」という方もおられるかもしれません。確かに、経済的な状況によっては、高いと感じられる人がいても当然だと思います。そういう意味では、「今の個人開業のカウンセリングの状況は、ある程度の所得をもっている人にしか利用できない状況にある」と言えるでしょう。こんなことを書くのも、私自身がこの問題について葛藤を抱いているからなのですが、将来的に解決できればと模索している次第です。
【病院や大学附属施設でのカウンセリング】
病院によっては、保険診療のなかにカウンセリングを組みこむことによって、2000円~4000円前後でカウンセリングを提供しているところもあります。また、大学に附属しているカウンセリング施設のなかにも、2000円前後の価格でカウンセリングを提供しているところもあります。
ただ、大学附属のカウンセリング施設の場合は、大学院生が相談員である場合が多いこと、臨床心理士の資格をもったカウンセラーに任期があり、カウンセラーの交代が常に起こること、などがデメリットと言えるでしょう。
病院におけるカウンセリングの場合は、うけられるカウンセリングの内容が主治医の考えに大きく影響を受けること(主治医の良し悪しが非常に重要となること)、カウンセラーがその病院をやめる可能性があること、などが気になるところとしては挙げられると思います。
【お金を払って話を聴いてもらうということ❷】
カウンセリングにお金を払うことに違和感を感じる人もおられるかもしれません。
実際、カウンセリングにお金を払うことで一番分かり易い理由は、相談事の解決のために専門的な助言や知識をもらうことだろうと思います。
しかし、カウンセリングの醍醐味=有益性は、実のところ、助言や知識をもらえることではないのです(カウンセラーの考え方によりますが)。
【話を聴いてもらうことの難しさ】
あなたは他人に“真剣に”話を聴いてもらったことがありますか?
現代社会において、自分の話を“真剣に”聴いてもらえることはそう多くありません。特に、他者批判の話やイライラ話などの怒りの感情が色濃い話は、誰からも敬遠されがちです。最初は気持ちを込めてふんふんと聴いてくれてはいても、次第に「考えすぎじゃないの」「もっと大変な人もいるよ」「相手はどう思っているのかな」と言われたり、聴く態度や返事が横柄になっていくことが一般的です。ときには説教されることもあります。
そのとき、「あなたは私の何を知ってそんなことを言っているの?」と思ったことは、誰しもが何度も経験しているのではないでしょうか。心の病が多くなっているのは、「そのような社会の実情を反映している結果だろう」と私は思います。
このように振り返ると、自分の話を“真剣に”聴いてもらうこと、さらには理解してもらえることが非常に困難な作業であることが分かりますね。
つまりのところ、カウンセリングにお金を払うというのは、「自分の話を”真剣に”聴いてもらえる時間を買っている」ということなのです。
【怒りの感情がまつわる話の大切さ】
さらに考えてみてください。あなたが相談しようとしている話の内容は、日常の些細な出来事の話でしょうか。違いますよね。あなたにとって非常に重要な話のはずです。
通例、怒りの感情が色濃い話には、他者から傷つけられた経験や心の傷が関わっている場合が多く、その人が大切にしている考えや価値観が深く関わっていることが多いのです。そのような種類の話は、信頼できる人に話すことが非常に大切です。話をする人を間違えてしまうと、さらに深く傷つけられ、結果として精神疾患を患うことになりかねません。
また、相談したのに自分の考えを否定されたり説教されると、次第に自分が間違っていると思いこみ、自分に自信がもてなくなったり、あるいは、「もう誰にも話できない」と人を信用しなくなるといったことが起こります。このようなことが、どれだけあなたの人生を蝕むことになるかは想像に難くないと思います。
【“真剣に”話を聴いてもらうということ】
それでは、“真剣に”話を聴いてもらうということは、実際どういうことでしょうか。
それは、あなたが体験することによってしか分からないものかもしれません。しかし、次のように考えてみると、少し分かり易いのではないでしょうか。
あなたが2人のカウンセラーのもとで悩みを相談したとします。そして、2人のカウンセラーは次のようにあなたに言いました。A「様子をみてください」。B「すぐには解決策がでないかもしれませんが、一緒に考えていきましょう」。
この二つの答えには、AとBのカウンセラーにあなたのことを引き受ける覚悟があるかないか、が現れています。Bカウンセラーは「あなたを引き受けます」と言っているのに対して、Aカウンセラーは「あなたを引き受けません」と伝えているのです。
自分のことを引き受けてもらえたことは、体感によって分かるものです。その1つとして、「この人は私の話を真剣に聴いてくれているな」という実感が挙げられると私は思います。
個人でやっているカウンセラーに相談した場合は、まず引き受け感、真剣さが違って感じられるのではと思います。
【苦しみを理解してもらうことの大切さ】
自分を引き受けてもらえず、周囲による無理解がつづくと、人は誰でも心の病にかかってしまいます。無理解は傷つきを生み、傷つきは怒りを生みます。そして、怒りは無理解を生みます。
この悪循環を断ち切るためには、話を真剣に聴いてもらい、怒りや苦しみを理解してもらうことが何より不可欠です。
【告白】
あなたが自身の苦しみを理解してもらおうとするとき、あなたが今まで誰にも言えないでいた秘密を告白する必要があるかもしれません。
秘密には、トラウマの出来事や、性被害などの性に関わること、不倫などの道徳的な事柄、犯罪などの“悪”に関わるものなど、色々あります。
心の病の治癒には、「秘密の告白」が重要な転機となる場合が多いのですが、このような秘密を他者に打ち明けるのは非常に勇気がいりますし、信頼関係なくして打ち明けられるものではありません。
ですから、「秘密の告白」を可能にするものとして、カウンセリングの利用は適切であると言えます。カウンセラー(臨床心理士)は、法的な面からだけでなく、職業倫理としても守秘義務が重く課せられている職業だからです。
カウンセラーのもとで行う「秘密の告白」は、あなたに癒しや気づきをもたらしてくれる神秘的で厳かな行為です。
ただし、「秘密の告白」にはタイミングが重要です。ただ告白すればよいというものではないのですが、ここでは割愛します。
【ジグムント・フロイトの体験から】
カウンセリングの治療効果において、「カウンセリング料金が発生すること、そして、週1回50分などの決まった枠組みがあること(=治療構造)の大切さ」を、精神分析学の祖ジグムント・フロイトは見出しました。
フロイトはあるとき友人の精神治療を引き受けたのですが、枠組みや治療構造があいまいであったため、ついには自分の身ももたなくなり、治療をあきらめることになったのでした。
自分と向き合う作業には、苦しみが伴います。そのため、カウンセリング料金は無料で、いつカウンセリングをうけるかどうかも定かでないといった場合(=治療構造がない場合)、自分と向き合うのがしんどい段階に入るとカウンセリングをキャンセルしたり、カウンセリングに行かなくなったりということが起こります。
また、極端なことを言えば、毎日毎晩相談されてしまうと、カウンセラーも真剣に話を聴くことができなくなってきます。
つまり、定まった枠組みのない治療構造は、双方ともにリタイアしやすい構造と言え、カウンセリングの治療作用を維持できず、破綻へと繋がりやすいのです。
そのため、自分と向き合う種類のカウンセリングでは、その治療作用を有効なものとし維持するために、カウンセリング料金やキャンセル料を設定し、定期的な継続カウンセリングの契約を結ぶことを大切にしているのです。
【カウンセリングのまとめ】
以上のように、カウンセリングの時間というものは、自分の人生全般に関わる課題に向き合う厳かで重みのある時間であり、自分と向き合う高尚で神秘的で真剣な時間です。
カウンセリングを受ける目的は人それぞれですが、アドバイスをもらうことだけでなく、真剣に話をきいてもらい、自身と向きあい、告白して、癒されたり、気づきを得て、自分を取り戻し、自分を作っていく、そんな時間の対価として、カウンセリングではお金を払っているのです。
最後に、カウンセリングの効果=メリットについて、ざっくりとですが、箇条書きにして整理しておきます。
❶心の専門家としての立場から、アドバイスや助言をもらう
❷“真剣に”話を聴いてもらう=私を引き受けてもらう
❸感情(特に怒り)や苦しみを理解してもらう(癒し)
❹しばらくの間、人生を一緒に歩いてもらい、支えてもらう
❺告白=カタルシス(癒し)
❻自分に気づく
➐葛藤の整理と解決
❽相談内容の改善、解決
❾精神疾患症状の改善、治癒
➓自分を取り戻し、自立して歩んでいけるようになる
本記事が、皆様がカウンセリングを申し込む際に役立てば幸いです。
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