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アンガーマネジメント・プログラム
アンガーマネジメントとは
1) アンガーマネジメントとは
「アンガーマネジメント」とは、心理療法の1つである認知行動療法をベースにして作られた、怒りの感情とうまくつきあっていくための知識や方法のことです。私の考えで言うと、怒りの感情を状況に応じてふさわしく表現するための知識や方法のことです。「アンガーマネジメント」の目的は、怒りを消すことではありません。また、怒らない人になることでもありません。怒りを大切にするための知識や方法、それが「アンガーマネジメント」なのです。
2) アンガーマネジメントの歴史と現在
現在普及している「アンガーマネジメント・プログラム」のベースは、1970年代のアメリカにおいて、レイモンド・ノヴァコ(Raymond Novaco ※写真出典:https://news.uci.edu/2012/02/27/when-uncontrolled-anger-becomes-a-soldiers-enemy/
)が、それまで行われていたアンガーマネジメントプログラムに、ドナルド・マイケンバウム(Donald H. Meichenbaum)が行っていた認知行動療法の技法や考えを取り入れることによってつくられました。
そして、1980年代に入ると、教育分野をはじめ、司法・医療。福祉・経済・スポーツなど、様々な分野に取り入れられていきました。
日本では、2000年代初頭から、教育分野でいじめや自死予防のための方策として注目されいました。そして、著名人がアンガーマネジメントを生活に取り入れたことやパワーハラスメントが社会問題化し、次第に広まっていきました。
現在では、教育分野では道徳の教科書に掲載されるなど広がりをみせており、アンガーマネジメントの授業を取り入れる学校が増えてきています。経済分野でも、パワーハラスメント防止の取り組みの一つとして、アンガーマネジメントを社員研修に取り入れる企業が増えてきており、医療分野では、うつ病患者さんのリワーク(復職)プログラムとして導入されています。近年では、あおり運転の影響を受け、交通業界においてもアンガーマネジメントを取り入れる団体もでてきています。
3) アンガーマネジメントの内容
ある出来事が起こった時、私たちはその出来事に関する様々な情報を脳で受け取り、認識(認知)し、感情が生まれ、身体反応が生じ、それらにもとづいて行動をとります。また、認知・感情・身体反応・行動の4領域はそれぞれ互いに影響しあっています。
この4領域のなかで、自分の力で変えることができるのはどれでしょう。正解は、認知と行動ですね。そのため、アンガーマネジメントでは、認知と行動を変えることにトライしていきます。
しかし、認知(捉え方や考え方のくせ)を変えることはすぐには難しいので、まずは衝動を抑えたり、気持ちを落ちつけたり、脳や身体をリラックスさせるための行動(=「ストレスマネジメント」)をとれるように取り組みます。
具体的には、まずは①怒りの感情について理解し、その後、②ストレスマネジメントの方法を知り、③認知を変える方法について学び、④怒りを表現するための適切なコミュニケーションスキル(傾聴やアサーティブコミュニケーション)を身につけ、それぞれを実践していくことになります。
てだのふあカウンセリングルームのアンガーマネジメントの特徴
1) アンガーマネジメントを普及している2つの団体
2020年現在、アンガーマネジメントを普及している大きな組織団体に、「日本アンガーマネジメント協会」と「アンガーマネジメントジャパン(略称:AMJ)」があります。
2) てだのふあカウンセリングルームのアンガーマネジメント
当カウンセリングルームでお伝えしているアンガーマネジメントは、AMJが提供している内容を参考に、私自身の考えや方法を取り入れたものになります。
※2019年7月に、AMJ発行のアンガーマネジメントライセンスを取得しました。
3) てだのふあカウンセリングルームのアンガーマネジメントの特徴
当カウンセリングルームでお伝えしているアンガーマネジメントの特徴は3つあります。
1つめは、自己理解の重視です。スキルの実践を推奨することよりも、自己理解を深めることや自分と向き合うことをとても大切にしています。自分や出来事に対する気づきを得て、自己理解が深まれば、自ずと捉え方や考え方が変わり、行動を変えることができるようになるからです。
2つめは、認知の変容に対する考えです。認知行動療法では、ある出来事が起こった時にその人がパッと瞬間的に思い浮かべる捉え方や考え方を「自動思考」と呼びます。この「自動思考」がネガティブなものであると、ネガティブな感情が呼び起こされるわけです。そのため、この「自動思考」を変えていこうという話になります。そして、認知行動療法では、「自動思考」が生じてくる背景には、経験に基づいて獲得された「信念」があるとし、この「信念」を変えることにトライしていきます。
ですが、私は「信念」を大切に考えています。なぜなら、「信念」ができあがる背景には、その人の「心の傷(ときにトラウマ)」があるからです。
そのため、私は「信念」を変え、「捉え方」を変えることに主眼をおきません。その人がその信念を形成するに至った体験を丁寧に聴き、心の奥にしまいこんだ気持ちを表現できるように援助します。そのなかで、自分の「心の傷」に気づくこともあるでしょう。涙を流すことで、張り詰めていた気持ちが楽になり、心が軽くなれば、自ずと考え方は変わっていきます。「信念」を無理に変えようとしなくても、考え方の幅が広がったり、行動が変わることで、解決が可能となるのです。
3つめは、怒りの感情に対する理解や態度です。アンガーマネジメントは、大抵の場合、「怒りをコントロールするための知識や技術」と理解されています。しかし、私は「怒りを出すための知識や技術」と捉えています。
怒りの感情をめぐる状況は人によって様々です。いつも怒ってばかりで、暴力的なトラブルを繰り返してしまう人の場合は、怒りのコントロールが必要でしょう。
一方で、いじめられたり傷つけられても大人しくしていたり、抗議をせず、ひきこもるなど、怒りを外に出さなかった人の場合は、怒ることが大切です。
現在普及しているアンガーマネジメントでは、主に前者の場合を想定されていることが多いように思います。前者の場合では、どうしても「怒りをコントロールする」といった面が強くなりやすいのです。
また、「アンガーマネジメントは怒りを抑えることではありません。怒りをやわらげ、怒りと上手につきあう方法なのです」といくらきれいごとを言っても、実際は「怒りを抑える」という目的で使用されていることが多いように思います。それに、現在のアンガーマネジメントでは、怒りを鎮めたり、コントロールすることばかりに注意がいき、「怒りが相手に伝わる」という視点が欠落しています。そのため、私は「ふさわしく怒る」ということを大切にしています。
怒りはとても奥が深い世界です。私は勤め先の学校で、子どもたちにアンガーマネジメントの授業をしていますが、その中には、虐待をうけていたり、いじめられている児童生徒もいます。そして、辛い子ども時代を耐えしのび、大人になった人もたくさんいます。また、大人になってから、パワーハラスメントや世間の理不尽さや無理解に傷つき、怒りを抱え込んでいる人も少なくありません。そういった怒りをため込んできた人々の心にも響く「あたたかく深みのあるアンガーマネジメント」を、私は提供したいのです。
これらの考えに基づき、怒るべきときにはしっかりと怒り、必要なときには怒りをコントロールするなど、相談者の方一人一人に応じた怒りの表現の仕方(コントロールも含む)や怒りにまつわる課題について、ときに生育歴にも触れながら、丁寧に一緒に考えていきます。
アンガーマネジメント・プログラム(個人セッション)の内容と流れ
【アンガーマネジメント・プログラムの概要】
❶ 本プログラムは、アンガーマネジメントを取り入れた短期集中型のカウンセリングです。
❷ アンガーマネジメントの知識や方法について、ワークや日々の生活での取り組みをとおして、体験的に学んで頂きます。
❸ 合計6回のカウンセリングを、隔週程度のペースで受けていただき(※1)、その回ごとに決められたテーマで、ワークに取り組んでいただきます。ワークが終わった後は、対話をとおして、自分や出来事に対する自己理解を深めていきます。
❹ 最終回では、怒りに関する課題を整理し、日々の生活で取り組むことについて確認します(※2)。
※1 カウンセリングの受講ペースは、状況にあわせ、ご変更可能です。
※2 『アンガーマネジメントプログラム』終了後は、ご希望により、継続カウンセリングに移行できます。
【セッションの内容と流れ】
初回(90分):アンガーマネジメントに取り組んでいくにあたり、申し込みの動機を確認し、自分の怒りに取り組みたい出来事や対人関係、自分の気持ちや悩み、自分が置かれている状況など、「自分」についての分析・整理を行います。
また、自分が怒りを感じる出来事について、分析・整理を行います。
↓
2回目(50分):「怒りの感情の正体」と「気持ちの伝え方」について学びます。
↓
3回目(50分):怒りを感じる特定の出来事について、アンガーログシートを活用して、考え方の幅を広げることにチャレンジします。自分の「考え方のくせ」について学びます。
また、自分にあった「気持ちを落ちつける方法」について考えます。
↓
4回目(50分):アンガーログシートを活用して、さらに理解を深め、自分をとりまく状況や課題、葛藤等について分析・整理していきます。自分にあった気持ちを落ちつける方法を確認し、自分の課題や葛藤等について向き合います。
↓
5回目(50分):4回目と同様です。
↓
6回目(50分):ふりかえりを行います。怒りに関する課題を分析・整理し、日々の生活で取り組むことについて明らかにし、確認します。
※実施するテーマやワークに関しては、そのときの取り組みの状況によって、変更する場合があります。
ご検討の方へ
アンガーマネジメント・プログラム受講の勧め 怒りの感情はさまざまな出来事に深く関係しています。 | |
料金 セッション6回分+テキスト代/5万円(税込み) | |
申込方法 アンガーマネジメント・プログラムをお申込みされる方は、下のボタンより、相談申込ページに移動してください。 | |
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